ビットコインゴールドは、ビットコインからハードフォーク(HF)する形で2017年10月に誕生しました。ビットコインから分裂した仮想通貨としては、ビットコインキャッシュやビットコインダイヤモンドがもっとも有名です。
ビットコインゴールドは、ビットコインキャッシュよりも後にビットコインからハードフォークした仮想通貨です
では、ビットコインゴールドにはいったいどのような特徴があるのか?そしてなぜビットコインはハードフォークをおこなう必要があるのか、本記事では上記のような点を踏まえて解説していきます。
ハードフォーク(HF)とは
暗号資産(仮想通貨)におけるハードフォークとは、仕様の変更を意味します。ハードフォークが行われると、従来のものとの互換性がなくなるため、新しい暗号資産が誕生します。例えば、ビットコインは、これまでも幾度となくハードフォークを繰り返したことで、「ビットコインキャッシュ」「ビットコインゴールド」「ビットコインダイヤモンド」「ビットコインシルバー」などの新通貨が誕生しました。
引用:SMBC日興証券
ビットコインゴールド(BTG)とは?

概要:ハードフォークはなぜ起きるのか?
ビットコインゴールド(BTG)とは、2017年10月下旬にUAHF(User Activated Hard Fork)によってビットコインから分裂したアルトコインの一つです。
ビットコインゴールドの通貨単位は「BTG」となっています。ビットコインのハードフォーク(HF)はビットコインゴールドが最初ではありません。
一時期、ビットコインの分裂がテレビやニュースなどでよく見聞きした方もいるでしょう。しかし、なぜビットコインがこうも度々分裂をするのか不思議に思われている方もいらっしゃるかもしれません。
なぜビットコインのハードフォークが起き、ビットコインキャッシュやビットコインゴールドというものが生み出されるのか?
その答えを端的に言うと、こういったビットコインの分裂は、「ビットコイン利用者の増加に伴う送金処理速度の低下を解決するため」起こります。
ビットコインでの取引には、承認という作業が必要とされます。しかし、ビットコインが普及し、取引数が増えるとその膨大な取引数に承認が追いつかなくなり、どうしても処理速度が下がってしまう可能性が出てきます。こういった問題に対処する方法、つまり処理速度を上げる方法は2つあります。
「分裂することで取引を記録する台帳のサイズを大きくする方法」
「分裂を行わずに取引データを圧縮する方法」です。
言い換えるならば、前者は「中身は変えずに既存のものとは違う大きい箱を使うことでたくさんデータを詰め込む方法」であり、後者は「既存の箱は変えずに中身の取引データを小さくすることでたくさん詰め込む方法」です。 前者を選択し、分裂、つまりハードフォーク(HF)が行われた場合、これまでビットコインで記録し続けていた取引の記録が引き継げないため、元のビットコインとは別の派生した新しいコインが発行されることになります。ここで生まれた新しいコインはビットコインとは全く別のコインとして扱われます。単に名前が異なるものというわけではありません。
最初のハードフォークで誕生したビットコインキャッシュ(BCH)とは?
ビットコインゴールドが生まれるおよそ2ヶ月前、2017年8月に中国の巨大マイニングプール保有会社主導の下、ビットコインから分裂したのがビットコインキャッシュ(BCH)です。
ビットコインキャッシュもビットコインゴールド同様にビットコインとは全く異なるコインということになります。もちろん、ビットコインキャッシュとビットコインゴールドも全く別のコインです。
ブロックサイズ(簡単にいえば元となる箱の大きさ)が既存の1MBから8MBへと拡大されることで処理能力を高め、スケーラビリティ問題の解決を図りました。
ビットコインキャッシュは、すでに多くの国内取引所ですでに扱われていることから非常に流動性の高い仮想通貨となっています。
ビットコインのブロックサイズよりも拡大したブロックサイズを採用していることで、ビットコインに比べて送金詰まりが起こりにくいことから通貨としての実用性が期待されています。
スケーラビリティ問題とは?
スケーラビリティ問題とは、暗号資産(仮想通貨)に用いられているブロックチェーン技術において、1つのブロックの中に書き込めるトランザクション(取引データ)の数が限られていることが引き起こす障害の問題です。ブロックの容量がフルに達するまでデータが書き込まれると処理速度がにわかに低下し、送金遅延を引き起こしてしまいます。
特にビットコインにおいては、スケーラビリティ問題が非常に深刻視されてきました。なぜなら、ビットコインのブロックサイズは1MBに制限されており、すぐに満杯となってしまい、アルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産(仮想通貨))と比べて処理速度が遅れがちだからです。ブロックに入りきらなかったデータが増えれば増えるほど処理能力は低下し、送金の遅延のみならず、送金要求も承認されないといった事態も発生します。また、そういった状況下で迅速な処理を求めると、ビットコインの購入者がマイナー(ビットコインの採掘者)に対して支払う取引手数料が高くなってしまいます。
引用:DMMビットコイン
ビットコインゴールド(BTG)の特徴

ビットコインがハードフォークしてきた背景や、ビットコインゴールド以前のハードフォークで誕生したビットコインキャッシュについて説明してきました。
ここからは、ビットコインゴールドについての特徴や詳細を見ていきたいと思います。ビットコインゴールドの一番の特徴と言われているのが『マイニングの方法』です。
この状態では、ビットコインのマイニングにおいてASICを多く購入することができ、安い電気代が確保できる環境を整えることができる組織が寡占的になり、そういった力を持つ組織に権力が集中してしまう構造が生み出されることとなってしまいます。
実際に、各国の中でも電気代が安い中国がビットコインのマイニングシェアの大多数を占めることになるという事態が発生しました。中国の巨大なマイニングプールを保有する会社が主導的にハードフォークを実行し、ビットコインキャッシュを誕生させることができたのもマイニングにおいて寡占的な位置に立ち、大きな影響力を持つようになっていたためです。
このように、中央分散的で民主的な通貨であったはずのビットコインが中央集権的な色を帯びるという矛盾が生じていました。こういったビットコインの好ましくない状況は、ビットコインの主力開発者の一人であるマイク・ハーン氏が「ビットコインは失敗だった」という発言をする事態を招く一つの原因となりました。
この中央集権的な現状を打破するため、ビットコインゴールドではビットコインとは異なるアルゴリズムが採用されています。ビットコインでは『SHA256』というアルゴリズムが採用されていますが、ビットコインゴールドでは『Equihash』というアルゴリズムが採用されています。
ビットコインゴールド(BTG)のメリット

流動性の高さ
ビットコインから分裂したものであるため、ビットコインゴールドの発行数はビットコインと同じものとなります。
つまり、ビットコイン同様、ビットコインゴールドも発行枚数は有限です。また、ビットコイン所有者にはハードフォーク時におけるその人のビットコイン所有数と同数のビットコインゴールドが配布されています。
仮想通貨は利用する人たちがいて初めて価値が生み出されるものであり、利用者たちによって価値がつけられていくものなので、ビットコインゴールドでは利用者を確保するために上記のような手法がとられています。
ビットコインキャッシュがビットコインから分裂する際にも同様の手法が取られていました。
圧倒的な利用者数を誇るビットコインから生まれ、その保有者に同数のビットコインゴールドが配布されることからあらかじめ一定数の利用者が期待でき、このようなことからビットコインゴールドの『流動性の高さ』が伺えます。
マイニングが非中央集権的
ビットコインゴールドのマイニングは、ビットコインのマイニングのように現状では『ASICをより多く購入することができ、電気代をより安く使うことができる』という条件を満たすことができる資金力や経営力のある組織が独占的となり、一般的なPCでの個人のマイニング参加が非常に困難なマイニングとは違います。
上記で説明してきた通り、ビットコインゴールドでは従来のビットコイン対応のASICが利用できず、ビットコインゴールド対応の特殊機器が開発されていないこともあり、そういった大きなマイニングプールを営む経営力や資金力がなくても、パソコンのGPUさえあれば誰でもビットコインゴールドのマイニングに参加することができます。
ビットコインゴールドは個人でのマイニング参加へのハードルが低く、この広く一般に開かれたビットコインゴールドのマイニングは非中央集権的であると言えます。
ビットコインゴールド(BTG)のデメリット

システムの脆弱性
ビットコインゴールドはビットコインなどと比べて、まだ歴史も浅く、主要な通貨と呼べるものではないため、流通や普及を支える要であるマイナーが決して多いとは言えないのが現状です。
そのためハッシュパワーが弱く、いわゆる51%攻撃を受ける可能性もあります。まだ広く一般的に普及しているとは言えないビットコインゴールドには、システムにこういった脆弱性が孕むリスクがあると言えるでしょう。
スケーラビリティ問題
ビットコインはスケーラビリティ問題が引き金となり、ハードフォークが起こりビットコインからビットコインキャッシュが分裂することとなりました。
スケーラビリティの問題はビットコインに限った話ではなく、多くの仮想通貨の間で生じる問題となっていますが、ビットコインゴールドも例外ではありません。
今後、ビットコインゴールドの利用者が爆発的に増加し、ビットコインゴールドの流通量が増加すれば、取引の迅速な処理をしきれなくなる可能性があります。承認に時間がかかるといったように取引処理能力が落ち、送金詰まりなどの問題が起きるかもしれません。
ビットコインゴールド(BTG)の購入方法・買い方

では、このビットコインゴールドはどこで購入することができるのか?
ビットコインゴールド誕生時点、すなわちビットコインからのハードフォーク時点でビットコインを保有していた人にはそのときに保有していたビットコインと同量のビットコインゴールドが付与されるという説明をしましたが、国内でビットコインゴールドが上場している取引所は未だ存在しません(2022年11月現在)。
それにより、国内取引所のウォレットではビットコインゴールドを保有しているとされる人に対して2022年11月現在もビットコインゴールドが配布されていません。
これは「金融庁の認可が下りていない」ことが原因だと言われています。認可さえ下りれば規定通りに配布が行われる見通しです。
日本の取引所がゴールドをリストできないのは、技術的な要因ではなくて、金融庁の認可待ちです。フォークコインはすべて金融庁の認可無く扱えませんので。いつ認可されるかとかは全く読めないようです。
ということで、日本の取引所でももらえると思いますが、時期は読めません。— 大石 Tetsu Bigstone (@bigstonebtc)
国内では上記のような状況ですが、海外の取引所ではすでにビットコインゴールドが配布されているところが多く存在します。ビットコインゴールドを取り扱っている取引所については下記をご覧になってください。
- Bittrex
- Bitfinex
- Hitbtc
- Binance
まとめ

- ビットコインゴールドはビットコインからハードフォークすることで誕生した通貨
- ビットコインとは根底となるアルゴリズムが異なる
- ビットコインは特殊対応機器であるASICでマイニングを行うのが主流であるが、ビットコインゴールドはパソコンのGPUで個人でもマイニングを行うことができるので非中央集権的
- 国内取引所では未だビットコインゴールドの付与、上場はされていない
果たしてビットコインゴールドはビットコインキャッシュ のような地位を確立していくのか。ビットコインの中央集権的マイニング打破を目指したビットコインゴールドのマイニングはどのような展開を見せていくのか見物です。
今後の動きに期待しましょう。