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ビットコインのライトニングネットワークとは?マイクロペイメント(少額決済)を実現する画期的な仕組み

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ビットコインのスケーラビリティ問題を解決する重要技術として大注目のライトニングネットワーク

本記事では、そんなライトニングネットワークとは一体どういうものなのかについて、わかりやすく解説していきます。

目次

ビットコイン(BTC)のライトニングネットワークとは?

ライトニングネットワーク(Lightning Network)とは、ビットコインのブロックチェーン上で開発が進められているセカンドレイヤー(Layer 2)技術の中で最も注目を集めているプロジェクトの1つで、マイクロペイメントを実現するためのオープンソースプロトコルのことです。

マイクロペイメントとは

一般的には「少額決済」のこと。店舗などでのクレジット決済できないような金額のことを言うことが多いが、ブロックチェーンの話では、1円に満たない超少額決済のことを言う場合もある。

引用:マンガでわかるブロックチェーン

ライトニングネットワークは、ビットコインのブロックチェーンの外部(オフチェーン)で信頼する第三者を介さず(トラストレス)に送金を実現するものです。

現在(2022年11月)、ビットコインの抱える大きな問題のひとつである、スケーラビリティ問題を解決する技術として大変注目されています。スケーラビリティ問題については次章で解説します。

なお、ビットコインに次いで、メジャーな仮想通貨であるイーサリアムでは、ライトニングネットワークのようなセカンドレイヤー技術のひとつとしてRaiden Networkが有名です。

ライトニングネットワークによって、下記の3つを同時に実現することができます。

  • オフチェーンで、トラストレスに送金できる
  • 即時の高速決済が可能である
  • 手数料が(オンチェーンでの送金と比較して)かなり安い

ビットコインが抱えるスケーラビリティ問題とは?

ビットコインでは、利用者の増加によって、取引需要がビットコインの処理能力(スループット)を上回ることにより生じるさまざまな問題点が懸念されており、これらをスケーラビリティ問題と呼びます。

現在(2022年11月)のビットコインのプロトコルでは、検証されたトランザクションがブロックに格納され、平均して10分に1度ブロックが生成されていますが、ひとつのブロックにつき約2,000件のトランザクションしか収納することができず、1秒あたり約6~8件程度のトランザクションしか処理できいことがわかります。

既にビットコインのブロックは上限である1.5MBに近い水準で推移しており、今後さらにビットコインの利用者が増えるにつれてトランザクションをすぐに処理することができない問題が多発することが懸念されています。

ビットコインのスケーラビリティ問題とは、現在(2022年11月)のビットコインのプロトコルに起因するスループット上限の問題であり、ビットコインのコミュニティ界隈では、このスケーラビリティ問題の解決をめぐって長い間対立を繰り返してきました。

対立するビットコインビッグブロック派と、ビットコインスモールブロック派

スケーラビリティ問題を解決するにあたって、ビットコインのコミュニティ界隈は大きく2つに分断されました。いわゆる、ビッグブロック派と、スモールブロック派です。

ビッグブロック派は、スケーラビリティ問題の解決はあくまでビットコインのブロックチェーン上(オンチェーン)での解決を目指すべきであると主張しているのに対し、スモールブロック派は非中央集権は極力維持しつつ、ハードフォークなどの分裂はできるだけ避けるという考えなどから、ブロックサイズの拡大は慎重に行うべきで、少額決済についてはビットコインブロックチェーンの外部(オフチェーン)で対応するのが最善であると主張しました。

ビッグブロック派の主張

構図としては、ビッグブロック派は主に中国のマイナーが中心であるのに対して、スモールブロック派はビットコインのコア開発者が中心となっていました。

結果として、この対立はビットコインブロックチェーンからビットコインキャッシュがハードフォークして生み出され、ビットコインコミュニティが分断するということになりました。

ビッグブロック派があくまでオンチェーンでの解決にこだわった理由のひとつには、マイナーの経済合理性が失われる可能性があったためです。

ライトニングネットワークのような、セカンドレイヤー技術を用いてビットコインブロックチェーンの外部でトランザクションが承認されるようになると、マイナーは本来オンチェーンで処理されていれば受け取ることができるはずだった取引手数料の大半を受け取れず、ほとんどブロック生成報酬しか受け取れない状況になることが予想されます。

ビッグブロック派がオンチェーンでのスケーリングにこだわる背景は、いくつもの理由が混ざり合って存在していると思いますが、本来付与されるはずだった取引手数料が付与されないという問題が大きな理由となっているのは間違いないでしょう。

現在(2022年11月)は、マイナーの収益のほとんどはブロックを生成した際に報酬として付与されるビットコイン(コインベース)がほとんどを占めているため、あまり問題として浮上していませんが、約4年に1度(210,000ブロック毎)、ブロック生成報酬が半減していくというビットコインのプロトコル(ビットコインの半減期)が存在するため、取引手数料は、マイナーにとって年々重要性を増していくことが想定されています。

しかし、ライトニングネットワークがあるからと言って、ビットコインのスケーラビリティ問題が完全に解決するというわけでもありません。

というのも、ライトニングネットワークでは自らのチャネルをオープンにしたり、クローズしたりするトランザクションを生成する必要が生じます。しかし、このチャネルのオープンやクローズのトランザクションはこれまで通りビットコインブロックチェーン上にブロードキャストしなければなりません。

現在(2022年11月)の1.5MBのブロックサイズだと、ライトニングネットワークを利用するためにチャネルをオープンしたりクローズしたりするためのトランザクションだけで、ブロックが埋まってしまうことが懸念されており、ライトニングネットワークが実現したとしても、将来的にブロックサイズを引き上げるためのハードフォークが行われる可能性は高いと考えられます。

また、ライトニングネットワークが実装によって今後も、ビットコインの取引数は拡大すると予想されますが、上述したようなマイナーの収益性低下の問題は解決されておらず、今後の議題の的になることが推測されます。

ライトニングネットワークの仕組み

ライトニングネットワークは、上記述べてきた通り、ビットコインブロックチェーンのオフチェーンで、トラストレスかつ高速承認されるマイクロペイメント(少額決済)を実現する技術で、ペイメントチャネルという技術をベースにしています。

ライトニングネットワークを利用する際、利用者はまずライトニングネットワーク上に一定のビットコインをデポジットし、自らのチャネルをオープンします。

この自らのチャネルから、直接繋がっていないライトニングネットワーク上の別のチャネルに、全く無関係なチャネルを介してトラストレスに支払いを行い、任意の時点でデポジットを回収したいときにチャネルをクローズし、元のビットコインブロックチェーンに最終的な残高のトランザクションをブロードキャストするのがライトニングネットワークです。

ここで具体例を見ていきましょう。

メリー、アンナ、スカーレットという3人の人物がおり、メリーはスカーレットに対し1BTCを送金したいと考えています。3人はそれぞれライトニングネットワーク上にチャネルをオープンしており、メリーとアンナ、アンナとスカーレットがそれぞれネットワーク上で繋がっていますが、メリーとスカーレットは直接繋がっておらず、メリーがスカーレットに1BTCを送金するためにはアンナを介して送金する必要があります。このとき、まずメリーはアンナに1BTCを送金し、メリーから受け取った1BTCをアンナがスカーレットに送信します。通常であれば、メリーは、アンナがスカーレットに1BTCを正しく送金するかどうかを信頼性を担保しなければなりませんが、ライトニングネットワークでは、アンナを信用せずともスカーレットに1BTCを確実に送金できるルールが整備されています。

ライトニングネットワークを実現するHTLCs

ライトニングネットワークでは、直接繋がっていない人物に第三者を介しトラストレスに送金することを、Hash TimeLocked Contracts(HTLCs)という仕組みで実現しています。

HTLCsでは、まず支払いを受ける人物(上記例ではスカーレット)が本人しか知り得ないシークレットな文字列Xを決め、そのハッシュ値Yをメリーとアンナに伝達します。その後、メリーはアンナに対してマルチシグアドレスを使いビットコインを送金します。このとき、アンナはハッシュ値がYとなるような文字列Xを入手することによってロックが解除されビットコインを受け取れるように設定します。

そして、同様に、アンナはスカーレットに対してマルチシグアドレスを使いビットコインを送信します。このとき、スカーレットはハッシュ値がYとなるような文字列X、すなわちスカーレットが最初にメリーとアンナに伝達したハッシュ値Yの元となる文字列Xをアンナに対して送信することによってスカーレットはビットコインを受け取れるように設定します。スカーレットがアンナからビットコインを受け取ると同時に、アンナはハッシュ値がYとなるような文字列Xをスカーレットから入手できるので、それを用いてメリーからビットコインを受け取ります。

それでは、例えばメリーがアンナにビットコインを送信したあと、アンナはビットコインを受け取らずスカーレットにもビットコインを送金しなかった場合はどうなるでしょうか。

実は、上述のマルチシグアドレスにはもうひとつの条件が設定されていて、これがCLTV(Check LockTime Verify)やCSV(Check Sequence Verify)と呼ばれるタイムロック機能で、例えば、メリーがアンナにビットコインを送金してから、アンナがそのビットコインを受け取らずに一定の時間が経過した場合、メリーにビットコインが戻るという仕組みになっています。

ここで見た例では、登場人物が3人だけとかなり簡素化して説明していますが、ライトニングネットワークでは、そのすべての参加者が、ライトニングネットワーク上の取引を仲介するハブの役割を果たすことによって、トラストレスで高速な支払いを実現しています。

ライトニングネットワークの2つの過去の課題

ライトニングネットワークの仕組みにおいて、2つの大きな課題がありました。

ひとつが、トランザクション・マリアビリティ問題。もうひとつが、相対的な時間でコントラクトをロックするビットコインスクリプトの実装です。

ビットコインのトランザクション・マリアビリティ問題とは、トランザクション固有のIDのような役目を果たしているトランザクションハッシュ(Transaction Hash)が第三者から書き換え可能となってしまっている、ビットコインの不具合のことです。

このトランザクション・マリアビリティ問題は、上記で説明したビットコインコミュニティ界隈の長い対立の末、2017年8月24日にアクティベートされたSegregated Witness(通称SegWit)によって解決されています。

SegWitでは、トランザクションのサイズを削減することによる実質的なブロックサイズ拡張の効果が広く認知されていましたが、SegWitの実装は、ライトニングネットワークを実現するために、このトランザクション・マリアビリティ問題を解決する極めて重要な役割を果たすものでした。

相対的な時間でコントラクトをロックするビットコインスクリプトは、2016年3月31日にリリースされたBitcoin Core v0.12.1にて実現されました。これがOP_CSV(Check Sequence Verify)と呼ばれる機能で、これまでビットコインスクリプトでは絶対的な時間指定(例: 2022-11-30)しかできなかったのが、相対的な時間指定(例: このトランザクションが承認されてから5ブロック後)ができるようになり、ビットコイン上でより柔軟なコントラクトが記述できるようになりました。

ライトニングネットワークの実現にとって大きな課題だったふたつの問題が解決されたことによって、ライトニングネットワークの開発は大きく進みはじめました。

ライトニングネットワークを開発する主なプレイヤー

ライトニングネットワークは、2016年1月にビットコインのコア開発者のひとりであるタデウス・ドライジャ(Thaddeus Dryja)氏とジョセフ・プーン(Joseph Poon)氏によって、該当する論文(The Bitcoin Lightning Network: Scalable Off-Chain Instant Payments)が公開されました。

(論文: https://lightning.network/lightning-network-paper.pdf )

ライトニングネットワークの実現には、複数の参加者を繋ぐための最適解を導くルーティングが大きな課題でしたが、その後アメリカの巨大マイニング企業であるBitfury社から、Flareと呼ばれるルーティング・アルゴリズムが発表され、提唱された理論にしたがって複数のプレイヤーによって開発が進められました。

有名なところでは、Blockstreamが開発する「lightningd」や、ジョセフ・プーン氏が中心となっているLightning Labsが開発する「lnd」、タデウス・ドライジャ氏が中心となっているMIT DCI(MIT Digital Currency Initiative)が開発する「lit」、ACINQが開発する「eclair」が挙げられます。

これらの複数企業によるライトニングネットワークの開発では、当初はまったく互換性を持たず各々が自由に開発を進めている状況でした。

2016年10月にミラノで開催されたビットコインの世界的カンファレンスであるScaling Bitcoinの際に、ライトニングネットワークを開発する6社が集まりプロトコルの標準化を進めて行くことが決められ、2017年末には標準化について一定の成果が発表され、現在ではメインネットでも相互運用性が確認された最終的なバージョンが公開されました。

日本におけるライトニングネットワークの活用

日本においては、現状使われている事例は少ないです。

過去にNayuta社が日本発のライトニングネットワークソフトウェアをオープンソースで開発していることを発表しており、中部電力やインフォテリア社と共同で電気自動車の充電などにかかわる集合住宅向けサービスの実証実験を行なっていると発表しています。(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000016959.html)

まだまだ日本での実用例は少ない状況ですが、今後ビットコインの影響が増加するにつれて、ライトニングネットワークを活用したサービスが出てくることが期待されています。

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