仮想通貨はブロックチェーンという技術のもとに成り立っています。
ブロックチェーンはかみ砕いて説明すると、特定多数のユーザーの持つパソコンによって、通貨の取引の記録・承認作業を行ない、すべての情報を個人間でハブのように共有することによって、不正をできなくしてしまう革新的な技術です。
実はこのブロックチェーン技術にも、記録の方法(マイニング)によって、いくつかの分類があるのをご存知でしょうか?
記録には、おもに「PoW」、「PoS」、「PoI」、「PoC」の4つの方法が利用されています。
ブロックチェーンの記録方法の違いは、その仮想通貨の将来性を見極める際にも、とても重要な意味を持ちます。
ブロックチェーンの記録方法を知ることで、どの仮想通貨に投資をすればよいのか判断する際に、とても役に立ちます。
本記事では、このブロックチェーンの4つの記録方法の違いや、メリット・デメリットについてわかりやすく解説していきます。
【前提知識】仮想通貨の取引は利用者が承認することで成立している

ブロックチェーンでは、従来の銀行などのように中央で取引を管理をしません。仮想通貨の売買の取引を利用者同士が承認するのです。
このことによって、権力を持った特定の組織や人が通貨を支配しない、自由なお金の世界を作っているのです。しかし、この承認作業は、当然無償のボランティアでは、誰もやらないでしょう。
そこで、仮想通貨のシステムでは、ユーザーの中で、取引の承認作業を行ってくれた人に、報酬をあげるようにしています。
報酬は、基本的に新しく発行した仮想通貨で支払われます。では、この承認作業は、無数のユーザーの中から一体誰が行うのか決めているのでしょうか?
この承認作業を行うユーザーを決めるための仕組みが、「PoW」、「PoS」、「PoI」、「PoC」という4つの方法なのです。
仮想通貨のPoWとは?

PoWは、正式名称は、Proof of Work(プルーフ・オブ・ワーク)という承認方法です。
PoWは、取引の承認に必要な作業、つまりパソコンをつかった計算で、一番早く処理ができた人に、取引の承認をする権利を与える仕組みです(マイニング)。
PoWを採用している、代表的な通貨はビットコインですね。
世界中で行われている取引の承認を、より多く行った人を、よりその通貨の運営に貢献したとみなして、優先的に報酬を与えることにしています。
・PoWのメリットは、このシステムによって、報酬を手に入れるために積極的に承認作業に参加する人が出てくるようになることです。
・PoWのデメリットは、より、承認作業をするために、より計算能力の高いパソコンを所有している必要があるということです。
ビットコインなどの取引の承認作業をするためには、家庭用の一般的なパソコンでは、非常に困難で、スーパーコンピューターで計算をする必要があります。
求められるパソコンのスペックだけでなく、計算処理のために、消費する電力も、とても高額なものになります。
したがって、一般の人が参加しづらく、高額な設備への投資ができる資金力のある人たちに、承認する権利が集中してしまう懸念点があります。
仮想通貨のPoSとは?

PoSは、正式名称は、Proof of Stake(プルーフ・オブ・ステーク)という承認方法です。
PoSは、PoWのデメリットを改善するために発案された承認方法です。
PoSでは、通貨をより多く保有している人に、優先的に承認作業をさせる仕組みです。その通貨をより多く保有している=よりその通貨のコミュニティに貢献しているとみなし、優先的に報酬を与えることにしています。
PoSには、下記2つの方法があります。
・1つは、「通貨を保有している期間」と「通貨の保有量」を掛け合わせて算出されるcoin age(コインエイジ)という数値が大きい人ほど、承認作業がしやすくするものです。
・2つ目は、取引を承認する人をランダムに選ぶ方法です。選ばれる確率を、 通貨の保有量が多い人ほど高くします。
PoSを採用している代表的な通貨はイーサリアムです。
PoSのメリットは、PoWのように膨大な計算処理が必要にならず、電力を抑えることができるので、非常に省エネルギーであるということです。
一方で、デメリットは、ユーザーが承認作業をするために、通貨をより多く保有しようとするために、その通貨の流動性が低くなってしまうという点です。
流動性とは
流動性とは、株式などにおいて市場に出回る数の多さを表すものとなり、多くの数が出ていれば流動性は高いと表現される事になります。多くの投資家がそれらの金融商品のポジションを持つことによって、市場の動きの影響を受けてそれぞれの思惑の元に売り買いの注文を出すことになります。そのために、どのような相場の動きに対しても売りも買いも注文が成立しやすい状況となるわけです。このような状態を流動性が高いと表現することになります。
引用:東海東京証券
仮想通貨のPoIとは?

PoIは、正式名称は、Proof of Importance(プルーフ・オブ・インポータンス)という承認方法です。
PoIを採用している代表的な通貨は、NEM(ネム)です。
PoIは、「通貨の保有量」と「通貨の利用料」を組み合わせた、その通貨に関わる「重要度」が高い人に、取引の承認をする権利を与える仕組みです。
PoIでは、ただ、通貨を多く保有しているだけでは、承認の権利は与えられません。保有している通貨を、自分で実際に利用して、かつ流通させることで、承認作業をすることができます。
このPoIのシステムのメリットは、PoS通貨のデメリットであった流動性を高められるという点です。
デメリットとして挙げられるのは、現状では、ある程度の通貨保有量が求められるので、資金力がある人に承認作業が集中してしまうのではないか、という点です。
仮想通貨のPoCとは?

PoCは、正式名称で、Proof of Consensus(プルーフ・オブ・コンセンサス)という承認方法です。
PoCを採用している代表的な通貨は、Ripple(リップル)です。
PoCは、事前にすでに信用力が高いとみなされている人に承認する権利を与える仕組みです。
PoCのメリットは、あらかじめ承認する人が決まっているために、承認スピードが非常に速いという点です。
デメリットは、あらかじめ承認する人が決まっていることによって、世界中の不特定多数の人に、承認する権利が行き渡らず、特定の人・組織が管理支配する通貨となってしまう点です。
こうなってしまうと、ビットコインのコンセプトであった自由な通貨とは言えませんね。
仮想通貨のPOW・POS・PoI・PoCの違いのまとめ

いかがでしたでしょうか?
4つの承認方法は、それぞれが、通貨をよりよく利用してもらうための工夫なのです。
それぞれのメリットとデメリットをよく理解して、自分が興味を持った通貨に投資してみるのがオススメです。